*5周年フリリク・白眼×凄腕 事の発端は些細な気まぐれ。 そこそこに危険度の高い忍務で、どん臭くてまだまだ未熟な部下を庇って大怪我を負った。 命に関わるほどではないにしても、見た目ではかなりの重傷で、体中に巻かれた包帯は、ちょうどタソガレドキ忍軍の組頭を思わせるほどのものだった。 そんな上司の有様を見た愚鈍な部下は、白い目に涙をいっぱい溜めて、布団に横たわる凄腕に縋りついた。 「うっとうしい・・・・・・」 そんな凄腕の拒絶に聞く耳を持たず、白目はぼろぼろと涙を零し、それはそれは酷い顔。 「だって、それは私の負うべき傷です・・・・・・」 「・・・お前だったら死んでたよ」 傷のせいもあって本当は会話をするのも億劫なのだが、この部下は放って置けば置くほど喚き散らすので適当に相手をしてやらねばならない。つくづく面倒である。 「それが理由で貴方が怪我を負う理由にはなりません・・・・・・!」 白目はたまに、むちゃくちゃなことを言っているようで正論を言うことがある。確かに彼の言うとおり、今回の凄腕の行動はプロの忍びとして最善の行いとはいえない。 「どうして、あのような真似を、したんですか・・・・・・?」 しゃくりあげながら改めて問われると、はて、凄腕自身にもよく分からなかった。この情けない男が、我が身を呈してまで、守る価値のある男なのかどうか。考えてみれば無いと言えば無いのだ。ではいったい自分は何のために、このような大怪我を負っているのだろう。 「勝手に身体が動いてしまった、というか・・・・・・」 ぼんやりと頭で考えながら零すと、白目の顔がみるみると赤くなって、面白いほどに身体が固まっていった。 「それ、本気ですか?」 その急激な変化に「何だお前、もう泣き止んだのか?」と揶揄するように言ってやると、白目は信じられないとでも言いたげに首を振った。 「全く、貴方って人は・・・・・・接吻しても良いですか?」 「は・・・・・・ぁあん!?」 溜息のあとに何を言われるのかと思えば、何の脈絡があってそんなことを要求されたのか。しかも、向こうが伺ってきたにも拘らず、こちらの是非なんか最初から聴く気もなかったのか、白目は身体を乗り出して唇を重ねてきた。 「っん、ん!!」 おまけにこちらが弱っているのを良いことに調子に乗って好き放題その口腔を犯してくる。凄腕は必死に抵抗しようと試みるが、とにかく傷口が傷むので手足はいう事が利かず、その痛みとあまりの苦しさに涙が滲んできた。 「んん・・・ン・・・・・・んはっ!」 長い口吸いから解放されると、凄腕はゼェゼェと酸素を取り入れながら「・・・殺す」と一言呟いた。しかしそんな言葉も、このように弱った状態ではなんの凄みも無かったのだ。 「だって、貴方があまりにも嬉しいことをおっしゃるから・・・それに、貴方に殺されるなら本望です」 「黙れ!」 こんなにも恥ずかしいセリフを素面で言えてしまう白目の気が知れない。凄腕は眩暈でも起こしそうになる。 「顔が赤いですよ」 「!!!」 おまけに追い討ちのような一言。もちろん顔が赤いのは呼吸困難に陥ったからであり、この男の言動に絆されている訳ではない。はずである。「誰のせいだ!」と言い返してやると、おめでたい頭はにこにこ笑いながら、「私の所為ですね」と言ってのけた。ああもう、本っっ当にこいつは・・・。 「馬鹿」 怒る気にもなれないのは、自分も大概この男に甘いのだと自覚するのである。 Oh!Darling あとがき。 甘いものを目指した結果がこれだよ・・・。まだまだ白凄は難しいですね・・・。 お待たせいたしました!リクエストありがとうございました!もっと精進しますね! ブラウザバックプリーズ |